第二章:コラーゲンの種類

動物コラーゲンと魚のフィッシュコラーゲンは、それぞれの骨、軟骨、皮を原料として得られます。魚だけがウロコをもっているので、特別にスカール(ウロコ)コラーゲンを採ることができます。

さて、表1に示すようにいずれもその構成アミノ酸はほとんど同じですが、コラーゲン繊維の3つ編み構造を保つためのヒドロキシプロリンの量が動物では1つの繊維(1000)中、120位あるのに対して、スカール(ウロコ)コラーゲンではほぼ半分の60と少ない、というちがいがあります。このことは、動物コラーゲンはほどけにくく、したがって食べたり飲んだりしても消化、吸収性に劣るといえます。
しかし、ほどけにくいことは固まりやすい性質でも有り、食品のゲル化剤として利用できるという特典があります。

一方、スカール(ウロコ)コラーゲンは本質的にヒドロキシプロリンの量が少なく、このことは3つ編み構造はほどけやすく、したがって消化、吸収性に優れているといえます。

また、特に含硫アミノ酸の一種であるメチオニンが異状に多く、このことが元気の元になっていると考えられます。 このように、動物と魚由来コラーゲンでは、3つ編みのほどけやすさにちがいが見られますが、この原因はそれぞれの体温が動物では37038℃、魚では809℃と住んでいる環境によって異なることに起因していると考えられます。

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表1.動物とスカール(ウロコ)コラーゲンのアミノ酸組成のちがい

ところで、私はフィッシュコラーゲンのうち、スカール(ウロコ)コラーゲンはキチン質を芯とした、いわばコラーゲン・キチン質複合体からなっている特殊な素材であることを見つけました。
このことが、後述するように、スカール(ウロコ)コラーゲンの他にはない優れた特徴となるわけです。

表2にそれぞれのちがいをまとめてみました。

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表2.動物とお魚コラーゲンのちがい

ウロコは真皮の成分が変化してできたものですが、その組成のほぼ半分は皮と同じコラーゲンというタンパク質繊維の長い糸が3つ編みに絡まっていて、水に溶けず体の内部を保護しています。

また、残りの半分は私たちの骨や歯の成分と同じハイドロキシアパタイトから成っていて、ほど良い強度を与え、体の保護をしています。

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図3.コラーゲン・キチン質複合体のモデル

ところで、ウロコの成分は従来からコラーゲンとハイドロキシアパタイトであるとして知られていましたが、ある種の比較的硬いウロコは、コラーゲンとキチン質(キチン・キトサン)の複合体であることが見い出されました。図3に示すような構造が推定されます。
ただし、ここでいう比較的硬いウロコとは、魚体から人為的に剥ぎとらなければ採れないウロコのことをいいます。
そして、これらの複合体に含まれるキチン質はカニやエビのα-タイプとちがい、イカの背骨と同じ消化、吸収性に優れたβ-キチン質であることもわかっています。

しかし、どちらもとことん分解してしまうと最小単位のグルコサミンという粒になってしまい、まったく同じ性質になります。大きな巨大分子の幹(分子量は300万)であるβ-キチン質にコラーゲン(分子量30万)がつたのように絡まった状態が推定されます。
キチン質は従来から、カニやエビあるいはキノコなどの繊維成分として見い出され、食物繊維として整腸剤、ダイエット剤、またその低分子体はオリゴ糖やグルコサミンとして抗腫瘍性、低コレステロール、関節炎治癒などの効能があるとして主に錠剤タイプで市販されています。

図4に示したように、カニやエビのα-キチン質に比べ、ウロコはイカの背骨と同じくβ-キチン質からできています。これらの共通点は脱カルシウム、脱タンパク処理をしたときに透明体が得られることで確認されます。
β-キチン質は、N-アセチルグルコサン(キチン)やグルコサミン(キトサン)の分子(図中の円)がα-キチン質の交互に連結しているのに対して、同じ側にあるため、立体構造的に不安定となり、このことが連結がほどけやすい原因となり、したがって消化、吸収性に優れることになるわけです。

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図4.α-(カニ・エビ)、β-(イカ・ウロコ)キチン質のちがい

★肥満を解消するしくみ
キトサンには脂肪と脂肪を分解する消化液である胆汁酸とを同時に吸着して、体外に排泄する働きがあります。その結果、肥満を解消する効果があるのです。

★便秘を解消するしくみ
腸内の善玉菌がキトサンを食べて増え、悪玉菌を減らすことによって、腸の本来の働きを元気付けます。
また、キトサンは脂肪を分解する胆汁酸が放出する腸壁を傷つけ、腸炎や便秘を招く分泌物を出しにくくし、またこれらの有害物を吸収して体外へ排泄し、腸炎や便秘、さらにはダイエット効果に優れます。

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図5.β-キチン質のコレステロールなどの吸着・排泄機能

β-キチン質は、野菜と一緒に食べることにより、それらに含まれる酵素の作用で、キトサンに変わりやすくなり、吸収効率が一層アップするといわれています。最近、この特性を利用して図5に示すように、脂肪を分解する胆汁酸(肝臓で体内コレステロールから作られる)や脂肪そのものを吸着、排泄することから、コレステロール値の正常化、あるいはダイエット食材として市販されています。